税務ニュース

税制改正により会社設立を利用した節税はメリットが減少します

平成18年度税制改正大綱が12月15日に発表されたが、その中に、役員報酬の一部損金不算入制度が述べられている。

大綱の十一「その他」の10項に、「法人の支給する役員給与について、次の見直しを行う」とある。
(1)同族会社の業務を主宰する役員及びその同族関係者等が発行済株式の総数の90%以上の数の株式を有し、かつ、常務に従事する役員の過半数を占める場合等には当該業務を主宰する役員に対して支給する給与のうち給与所得控除に相当する部分として計算される金額は、損金の額に算入しない。
ただし、当該同族会社の所得等の金額(所得の金額と所得の 金額の計算上損金の額に算入された当該給与の額の合計額)の直前3年以内に開始する事業年度における平均額が年800万以下である場合及び当該平均額が年800万円超3000万円以下であり、かつ、当該平均額に占める当該給与の額の割合が50%以下である場合は、本措置の適用を除外する。

簡略に言えば、原則は、同族で90%以上の株を所有する同族会社の常勤役員に支給した役員報酬の給与所得控除額相当は損金算入しない。仮に1人の役員の報酬が年2000万円であれば給与所得控除額は270万円だから、実質1730万円しか損金にならないことになる。
しかし、例外規定があり、当該会社の役員報酬控除前利益が800万円以下の場合には、適用されない。又、過去3年の会社の役員報酬控除前利益の平均額が800万円~3000万円の場合において、役員報酬の額が1/2以下であれば同様に適用されないことになる。

役員報酬控除前利益が2000万円で役員報酬が1000万以下なら全額損金算入されるが、役員報酬控除前利益が3000万円超ある会社であれば、役員報酬がいくらであっても給与所得控除相当額は損金にならないことになる。

1円会社が簡単に出来ることもあり、節税の為に個人事業主が法人成りし、給与を得ることで法人は損金に、個人は給与所得控除というみなし経費分が節税になり得るというロジックが受け入れられてきたが、今回の大綱での見直しが実施されると、既存の同族会社で、節税の観点での役員報酬の妥当額の再検討が迫られる。

役員報酬控除前利益の計算に、過去の青色繰越欠損金をどう扱うのか、株主でないみなし役員はどうなるのか、細目はわからない部分があるが、平成18年4月開始事業年度からの適用予定であるので注目しないといけない。

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