税務に関するQ&A

役員の退職金対策として長期平準定期保険への加入を勧められて います。税務上の処理について教えてください。

長期平準定期保険とは、満期(保険期間満了年齢)が95歳、100歳など保障期間が長期の定期保険のことを言います。
 一定期間のみ保障される定期保険は、「契約者・死亡保険金受取人:法人」、「被保険者:役員・使用人」という契約形態であれば、原則として全額損金計上できます。しかし、定期保険でも、将来の保険金支払いに備えて準備しておかなければならない貯蓄部分はあり、保障期間が長期になるほどその額は大きくなります。そのため、一定の条件を満たす定期保険(=長期平準定期保険)については、特別な経理処理を行なうことになっています。
 まず、長期平準定期保険にあてはまるのは、全額損金計上できる定期保険のうち、1)と2)の条件を満たしたものです。
1)保険期間満了時年齢>70歳
2)加入時年齢+保険期間×2>105 

 たとえば50歳の人が加入する場合、満期が75歳なら1)には該当しますが、2)は100(=50+25×2)となるので一般の定期保険とみなされます。しかし、満期が80歳なら2)は110=50+30×2)となり、1)にも2)にも該当するので長期平準定期保険とみなされます。
 長期平準定期保険の保険料の経理処理は、当初6割の期間(上記の例では68歳までは支払保険料のうち「1/2を損金算入、残り1/2を前払費用として資産計上」します。そして6割経過後の期間は「支払保険料は全額損金算入し、前払費用は残り期間で均等に損金算入」します。
 役員が死亡したときには死亡保険金、退職時に解約すれば解約返戻金を受け取ることができるので、それを死亡退職金や退職金に充てることができます。そのときの経理処理は、保険会社から受取った金額のうち、資産計上してある前払費用分は相殺処理し、残りは雑収入に計上します。ただし、退職金(死亡退職金)は過大でない範囲なら費用計上できるので、雑収入分への課税を回避することができます。
 このように、貯蓄部分(解約返戻金)が大きく、かつ支払保険料の半分を損金算入できる長期平準定期保険は、死亡保障を兼ねた退職金準備手段として利用しやすい保険です。とはいえ、保障期間が長い分保険料負担は大きくなりますから、保険金額と支払保険料との兼ね合いを考えて加入されることをお勧めします。

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